青春に、寄り道中。



「……そうだ、お父さんは、元気?」



周りを気にしながら、小さな声でそう聞いてみた。


すると歩夢は「当たり前だろ」と呆れたように笑って言った。

そうだよね、と思って「あはは」とわたしも笑ってみせた。



「吉井さん? ……って、歩夢?」



後ろから聞こえた声に、振り返る。
そこにはジャージ姿の高瀬くんがいた。



「あ、ソウちゃん」



高瀬くんの姿を見て、歩夢は懐かしそうに名前をつぶやいた。


……というか、見ただけでソウちゃんってよくわかったなあ。
わたしは、言われるまで気が付かなかったのに。



わたしとソウちゃんが遊んでるとき、歩夢は隣に住む同い年の男の子と遊んでいたから、ふたりが話してるのを見た記憶はあんまりない。



「久しぶり、歩夢」

「お、おう……」



だからか、高瀬くんと歩夢はちょっと気まずそうな感じに見える。


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