青春に、寄り道中。
いろんな方向から飛んでくる質問にひとつひとつ丁寧に答えていく。
中学のとき、わたしのクラスに転校生の女の子が来たときもこんな感じだった。
みんな新しい友だちに浮かれて質問攻めにしていたけど、答えるほうってこんなに大変だったんだなあ……。
「なあ、俺あんたと会ったことあるよね?」
「えっ?」
だけどある男の子が、女の子の中からひょこっと顔を出してそう聞いてきた。
明るくいムードメーカーっぽいその男の子は、にこにこ笑っている。
その笑顔はちょっと女の子みたいで……微かに見たような記憶がある。
「小学校の夏休み、遊んだじゃん!忘れた? ほら……中谷(なかたに)さん!」
その名前に、胸がドクンッと変に波を打った。