青春に、寄り道中。



この先わたしは大学に進むことになると思う。
そのためのお金までお父さんに出してもらうのは、申し訳ないし。


それに、わたしたちはもう……ちゃんとした“家族”じゃないんだもん。
自分でできることは、自分でする。



だから、自分がベストで出場できる大会は、つぎの学総で……最後。



「だったら華純、部活をがんばらなきゃね」

「うん!」

「じゃあほら早く着替えて! お弁当食べる時間がなくなっちゃうよ」

「そうだね、急ぐ」



わたしがぼーっと考えているうちに、いつの間にか着替え終わっていた、若菜。

そんな若菜に急かされるようにしてわたしも着替え、荷物をまとめて更衣室を出た。



――春はもうやってきた。

あとは、すべての目標を達成できるように、ギリギリまでがんばるだけだ。





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