青春に、寄り道中。



「あたしが走り終わったときに、あたしのと華純のを持ってここで立ってたの」

「そうなんだ……」

「それであたしに渡したら、スタンドにもどったよ」



やっぱり、優しいなあ。

でも、たとえ応援してもらってるとはいえ、走ってるのを見られるのは、なんかちょっと恥ずかしいかも……。



「華純はちゃんと決勝まで進めるね」

「若菜も」



そう言ったけれど、若菜は「あたしはギリギリ準決に出れるか出れないかってところ」と苦笑いを浮かべて答えた。



「タイム出るまで、陣地にいよっか」

「うん、そうだね」



わたしが着替え終わると若菜はそう言い、いっしょに会場の外に設けた陣地のところへともどった。


若菜の走りは後ろから見ていただけだったから、よくはわかんないけど。
最近の若菜を見てると調子も良さそうだったし、大丈夫だとは思うんだけどな。


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