青春に、寄り道中。
「……うん、俺でいいなら」
高瀬くんはそう言って柔らかく笑うから、「ありがとう」と涙をこぼさないようにわたしも笑ってみた。
「わたしの親ね、中学2年生のときに離婚しちゃったの。もとから仲良くなかったんだ。 それでわたしはお母さんについて、弟はお父さんについたのーー」
両親の話。
高1のときに起きた話。
それらをひとつずつ、つぶやくくらいの小さな声で、彼に向けて話した。
この世界と比べたら、とてもちっぽけな悩みかもしれない。
他の人から聞いたら、どうでもいい話かもしれない。
それでも高瀬くんは、変わらず優しい表情のままうなずいて聞いてくれた。
「ーーわたしはどうしてコドモなんだろうって、それが一番の悩み。早くオトナになりたいのに」
そう思うのは、わたしだけ?
なんていう気持を胸に抱きながら、高瀬くんのことをまっすぐに見つめた。