青春に、寄り道中。
高瀬くんが出て行ったあと、医務室の人が氷を持ってもどってきて。
それといっしょに、「外に友だちがいたわよ」と教えてくれた。
「家に帰ったら、病院に行くこと。いい?」
「はい!」
「歩けそう?」
「大丈夫です。ありがとうございました!」
そうお礼を言って、医務室を出ると。
ドアの横に立っていたのは、若菜ではなく、沙莉だった。
「かすみん、大丈夫?」
「うん、大丈夫。ありがとう」
沙莉といっしょに、陣地へと向かう。
わたしは沙莉に応援しに来てくれたことのお礼も伝えた。
「肉離れしちゃったみたいだけど、わたし、決勝の走りが一番かっこいいって思ったよ」
「本当? そう言ってくれてうれしい」
本当だったら、あのままゴールラインを駆け抜けるはずだったんだけどなあ。
地方大会に出られなくて、残念。
悔しいし、悲しい。