青春に、寄り道中。



「もしそうであっても、親の離婚が止められたかはわからない。 それに吉井さんが良いタイムを出したのだって、べつに悪いことじゃない」

「……っ」



なんで、そんなこと言うの。

本当は、わたしだって心の奥底でそう考えたこともあった。



……わたしは悪くないんだって。



だけどどうして、高瀬くんはわたしのことをわかったようにそう言えるの。



「俺は、焦らないでもっとゆっくり進んで行けば良いと思う」



イライラしてた気持ちが、その言葉に浄化されたような気がした。



「急いでオトナになる必要はないよ。 コドモだからこそできることだって、たくさんある。それをいまやらなかったらきっと、オトナになったら後悔する」



そう言った高瀬くんは、オトナに見えた。


ううん、高瀬くんの笑顔とかそういうのはコドモっぽくはあるんだけど。
少なからず、わたしよりはオトナだ。


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