青春に、寄り道中。



「“いま”っていう1分1秒って、きっと大切だと思う」



そんな高瀬くんの言葉は、わたしに向けて言われてるような気がしなかったのは……気のせいなのかな。


だって、なんだか後悔や苦しさが表情から読み取れた。



――でも。



「……高瀬くんって、すごいね」



思わずぽつりと、そうつぶやいた。


わたしはてっきり「そうだね」とか「大丈夫だよ」とかそういう言葉を予想していたのに。



高瀬くんはちがう方向から、わたしにいろいろ聞いてきて。
かと思えば、優しい言葉を投げかけてくれた。



慰めの言葉より、こっちのほうが断然いい。


それに、高瀬くんがすごいのはそれだけじゃないよ。



「昨日、高瀬くん言ったよね」

「……え?なにを?」

「わたしのこと、『さみしそう』って」



高瀬くんはあれは冗談だって言った。
だけど、あれは当たってたんだ。


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