青春に、寄り道中。
「ね?行こう! みんなね、すっごいいい人たちだから」
「でも悪いよ」
「そんなことないって」
にこにこと笑う大谷さんに「でも」と繰り返して言うけど、せっかく誘ってくれてるんだから一度だけでも、と渋々ついていくことにした。
「吉井さんのこと大歓迎だよっ」
「そうかなあ……」
「うん! それに、ひとりでご飯食べるのは寂しいでしょう?」
まゆ尻を下げて言った大谷さんを見て、「ありがとう」と返した。
この町は優しい人ばっかり。
あ、でも……休み時間とか高瀬くんのことあんまり見かけないなあ。
なんて頭に彼の姿を浮かべていたからこそ、私は食堂に行って驚きのあまり開いた口がふさがらなかった。
食堂の一角の6人掛けテーブルに、3人の人が座っていた。
それは、高瀬くんに同じクラスの橋本(はしもと)皐くんに、美人な女の子。