青春に、寄り道中。
まさか高瀬くんの姿があるとは思ってもいなかった。
それにしても、大谷さんもみんなもすんごい美形だなあ。
「吉井さん。吉井華純ちゃんだよ」
「よろしくお願いします」
大谷さんがわたしをみんなに紹介してくれて軽くお辞儀をすると、橋本くんに「硬っ!」と笑われてしまった。
だって、なに言えばいいかわからないし……。
というか、わたしが面識ないのってこの美人な女の子だけだ。
整った顔立ちに、サラサラの黒髪は後ろできれいにひとつに括られている。
「あたし、成田若菜(なりたわかな)。よろしくね」
「うん、よろしく」
そう挨拶して、席に座る。
向かいは左から橋本くん、高瀬くん。
わたしのほうは成田さん、私、大谷さんの順番。
高瀬くんの前は……なんだか緊張する。
「ほら、蒼くんも自己紹介しなよっ。皐くんは同じクラスだから知ってるだろうけど」
そんな大谷さんに高瀬くんは少し笑って、「高瀬蒼です」と改めてわたしに自己紹介をしてきた。