青春に、寄り道中。



キーンコーン……と本鈴が校舎に鳴り響く。



「蒼くん、女の子のこと苦手なの」

「……そうなんだ」



わたしがなにを考えていたのかわかったのか、沙莉はちょっと呆れて笑いながらそう言った。



「でも、かすみんはちがうみたい」

「え?そうかな」

「うん、そうだよ」



そう言った沙莉の笑顔は、さっきとちがっているように見えて、少し違和感があった。

……気のせいかな。



高瀬くんはどんな人なんだろう。
どうしてわたしなんかに優しくしてくれるんだろう。

なんかものすごく、謎。
だからこそすごく気になる。



本鈴が鳴って少し経つと、世界史の先生が慌てて教室に入ってきた。






*
.
< 49 / 350 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop