青春に、寄り道中。
キーンコーン……と本鈴が校舎に鳴り響く。
「蒼くん、女の子のこと苦手なの」
「……そうなんだ」
わたしがなにを考えていたのかわかったのか、沙莉はちょっと呆れて笑いながらそう言った。
「でも、かすみんはちがうみたい」
「え?そうかな」
「うん、そうだよ」
そう言った沙莉の笑顔は、さっきとちがっているように見えて、少し違和感があった。
……気のせいかな。
高瀬くんはどんな人なんだろう。
どうしてわたしなんかに優しくしてくれるんだろう。
なんかものすごく、謎。
だからこそすごく気になる。
本鈴が鳴って少し経つと、世界史の先生が慌てて教室に入ってきた。
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