青春に、寄り道中。



「……ううん、なんでもないよ! 若菜、よかったね!」



そう言った沙莉に、若菜は「うん」と苦笑いを浮かべてうなずいた。

橋本くんも明らかに挙動不審だし、そこから無理やり話題を変えたんだ。



なんだかすごい重い空気になっちゃったし……。
わたし、なにかしたのかな?
そう思ったけど、聞けるわけもなく。

そのあとの時間は、ただただおかしな空気が流れて気まずかった。



みんなの口数も昨日とは少なくなって、だけどその理由は仲良くなったばっかりのわたしなんかにわかるわけないよ。

でもやっぱり、わたしがなんかしちゃったのかも。



みんながご飯を食べ終えて、変わらないその空気のまま食堂を後にする。


高瀬くんに続いて、沙莉と若菜がその後ろを歩いて、またその後ろをわたしと橋本くんが肩を並べて教室に向かう。



「ねえ、かすみん」



突然、橋本くんにあだ名で呼ばれて驚きながらも「なに?」と返した。


< 62 / 350 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop