青春に、寄り道中。
「ねえ、高瀬くん」
「ん?」
「また、見に来てもいい?」
今度は勝手に見たりしないし、なにも聞かないから。
だから、見せて欲しい。
だって高瀬くんの描く優しい絵、一目見ただけで好きになっちゃったんだ。
「……うん、いいよ」
「本当?」
「下手なのにそんなに俺の絵、見たいの?」
「うん、見たい。 それに高瀬くんは下手じゃないよ」
美術の成績は悪いし、優れた感性を持ってるわけでもないけど。
直感で、そう思った。
優しいだけじゃない。
あの100メートルの絵はまるで、風が吹いているような感じがした。
さわやかで、キラキラしてた。
「吉井さんって優しいね」
高瀬くんはそう言って、まぶしいくらいの笑顔を私に向けた。
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