青春に、寄り道中。
「あはは、なんだ、そうなんだ。 それじゃあもしかして気を遣ってるの?」
「それは……」
若菜の言葉が図星で、なんにも答えられなくなる。
なんて答えようか迷っていると、前を歩く橋本くんがくるりと振り返って、「それだったら俺はいやだなあ」と言った。
その理由が「いや」だなんて言われちゃったら、ますます本心が言えなくなるよ……。
「俺らはかすみんのことウェルカムなのに?」
「え? ……本当に?」
「本当だよ」
橋本くんに聞き返したのに、言葉が返ってきたのは後ろからだった。
今度はわたしが振り返ってみると、高瀬くんは柔らかい表情をしていた。
「わたしは……わたしたちは、かすみんと仲良くしたいよ」
掴まれた右腕に込められた力がぎゅうっと強くなる。