青春に、寄り道中。
……なんでみんな、そんなこと言うの。
わたしなんかにどうしてそこまで優しくするの。
本心はうれしいくせに、疑問ばっかり浮かんでくる。
わたしは複雑になる人間関係にびくびくしてただけなのかなあ……。
「……ていうか、沙莉、力強いよ!」
「えっ!わ! ごめん!」
パッと、私からすぐに離れた沙莉。
冗談で言ったつもりなのに、沙莉はまゆ尻を下げてしかも目をうるうるさせている。
他の3人もちょっと驚いたような顔をしていて。
言い方が悪かったかなあ。
このままじゃいやな空気になっちゃう。
「沙莉が力強いだなんて、意外」
あわててそうひとこと付け足して笑うと、みんなは顔を見合わせてから「あははっ」と笑い出した。
「ふふ、よかった〜。かすみん、怒っちゃったのかと思ったよ」
「べつにわたし、そんなすぐに怒らないよ」
「だったらさ、華純はもっと笑ってよね」
若菜の言葉に「え?」と聞き返す。
すると若菜は大きな目を細めて、にこっと笑った。