青春に、寄り道中。



どういうことだろう、そう思いながらわたしも若菜に笑顔を見せてみると。



「そうそう!それだよ!」

「こ、これ……?」

「うん。 あたし、華純の笑顔好きだよ」



そんなことを言われて、言葉が詰まる。

そんなわたしを見てか、橋本くんは「かすみん、照れてるー」だなんて茶化してくる。



「みんな、ありがとう」



照れ笑いを浮かべてそう言うと、みんなはまた笑い出した。

そんな笑い声はざわついた廊下でも目立ち、周りの視線が集まる。



くるりと後ろを振り向くと、高瀬くんもにっこり笑っていてホッとした。



「ん?」

「ううん、なんでもない」



振り返ったわたしを見て高瀬くんは不思議そうな顔をしたけど、笑って首を横に振った。



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