青春に、寄り道中。
「やっぱり吉井さんって変わってるね。 俺が描いてるところ見たって、なんも面白くないのに」
「高瀬くんがなにかに本気になってるところ、見てみたくって」
って、わたしってば、なに言ってるんだろう。
なんかストーカーっていうか、こんなのすっごく迷惑なことなんじゃ……。
でも完成品じゃなくて、高瀬くんがどんな表情でどんな瞳で絵を描くんだろうって、気になっちゃったんだもん。
「……じゃあ、見る?」
「えっ? いいの?」
「うん。部活はないけど提出用のやつ、俺だけまだ描き終えてないから」
高瀬くんはそう言いながら、ポケットから出したカギを使って、美術室のドアを開けた。
入るとやっぱり不思議なにおいがする。
高瀬くんは端に寄せられた机に荷物を置いて、私もその隣に青いリュックサックを置いた。