青春に、寄り道中。
青い海に青い空に、のんびりとした町並み。
その風景は、優しい光で包まれていて、それになんかまぶしい。
「そんなに見ないで。まだ完成してないし、恥ずかしい」
「でも、高瀬くんってすごいね! この絵が完成するの楽しみ」
「はは、ありがとう」
そのあとも手際よく片付ける高瀬くんは、わたしが「手伝う」と言っても首を横に振るばかり。
だからわたしはただ片付けが終わるのを待っていた。
窓から見える空は、すでにオレンジ色で遠くのほうは少しだけ紫がかっている。
「帰る?」
「あ、うん!」
美術室を出て廊下を歩くけど、なにも会話することなくすぐに昇降口について、ローファーに履き替える。
「自転車取りに行く」
「うん、わかった」
高瀬くんはそう言って早歩きで自転車置き場へと向かった。
わたしも正門を目指して歩いていたけど、ふと校庭を見て足を止めた。