青春に、寄り道中。
それでも隣を走る若菜より少しだけ前にでて、そして先生の叫ぶタイムを意識しながら、ゴールへと向かう。
フォームを崩さないように、なおかつ本気を出しすぎないように8割くらいの力で走るのは、本気を出すよりむずかしい。
ーー風になるように、地面を駆ける。
それだけは忘れないようにして走り、わたしはゴールした。
「吉井、いい走りだな」
そんな顧問の先生の言葉に、少しだけ息を切らしながらも「ありがとうございます!」と返した。
「もう、華純ってばそれで8割? 速すぎだって〜」
「でも私も、若菜に負けないようにって思ってたら、ちょっと本気で走っちゃった」
「あはは」と笑いあっていると、先生のちょっと鋭い視線を感じて、すぐにジョグを始めた。
走り終わったらすぐに、ゴールから次の200のスタートまで、トラックを逆走して移動しなきゃいけないみたい。
……それも、1分半以内で。