鬼姫伝説 Ⅱ
あいつらが、死ぬとかそういう事じゃなくて・・・。
私、鬼羅に人を殺してほしくなかった。
そんな姿を、見たくなかった。
どうしてだろう。
気づくのは、鬼羅のいいところばかりで。
どうしてだろう。
気づくのは、私が鬼羅の事を想ってしまうこの気持ちばかり。
「千菜ちゃん・・・」
私に駆け寄ってくれた琉鬼が、乱れた私の着物をそっと合わせた。
そして今になってガクガクと震える身体。
怖かった。
どうにでもなれって、自棄になっていたくせに。
怖かったんだ・・・。
「馬鹿野郎。こんな夜中に飛び出していくやつがあるか」
「・・・ごめんなさい」
素直に口から出た謝罪の言葉。
考えなしだった。
衝動的に飛び出してしまったのは事実だ。