鬼姫伝説 Ⅱ
「違う。お前を責めてるわけじゃない・・・。すまなかった」
「え・・・?」
「革新の持てない話をするべきではなかった。闇雲に、お前を動揺させただけだったな。そのせいで、こんな・・・」
鬼羅の声が、弱々しい。
いつもの鬼羅の強気な態度じゃない。
私の事、気にしてくれてる?
こんな目にあったことを、心苦しいと感じてくれているの?
「前にも言ったはずだ。いくら似ていようと、お前はお前。千代は千代なのだ」
「・・・っ。うん。・・・うんっ」
そう言ってほしかった。
私を、私として見て欲しい。
あの日、私が鬼羅にぶつかった日から、鬼羅は私の面影に千代さんを見ることはなくなってた。
ただ、寂しそうに空を見上げていることはあったけど、私をその目に移して思い出に浸ることはなかったんだ。
わかってたのに。
私が生まれ変わりかもと言われて、また鬼羅が私に千代さんを重ねるんじゃないかって怖かった。
寂しかったんだ。
でも、鬼羅は気づいてくれた。
そんな私の気持ちを・・・。
それだけで・・・。
私はどれだけ救われるだろう。