鬼姫伝説 Ⅱ
「千代、・・・お前の事を愛してる。これからもだ」
「私もよ、鬼羅」
「いつ何時も、離れたくはない。この先もずっと、千代といたいよ」
紡ぎだされる言葉は、千代への愛の言葉ばかり。
突き付ける言葉を選びながら、ただその時を先延ばしにしてしまっていることに気づく。
「だが、もう・・・、これ以上は無理だ」
「・・・・え?」
「千菜に、その体を返そう」
千代の頬を撫で、なるべく穏やかな口調で。
目をそらさず、千代の瞳が絶望に澱もうとも。
「なにを・・・」
「この身体は、千菜のものだ。これ以上、千代が好きにしてはいけない」
「鬼羅・・・どうして・・・」
「これ以上は、千菜の身体がもたないのだ」
真っ直ぐに目を見つめそう告げた。
目をそらしてはいけない。
真っ直ぐ真摯に。