鬼姫伝説 Ⅱ




「千代!」

「千代ちゃん!」




突然森の奥へと走り出した千代に、鬼羅と側で見守っていた琉鬼はハッとして後を追った。
人間の足だ、すぐに追いつくはずだった。




「千代!」



しかし、追っても追いつかず千代を見つけたのはいつかの河原。
川の中に身を沈めていく千代を見つけた。




「来ないで!消えるのなら、私はこの身体とともに消えます!」

「やめろ!そんなことをして、お前はうかばれるのか!?」

「多少は、気は軽くなりましょう」

「一人で逝くな!逝くなら、俺も連れて行け!」

「き、鬼羅!」




突然そう言いだした鬼羅を、琉鬼が慌てて止めようとする。
しかし、鬼羅は足を踏み出し川の中に乗り込んだ。

徐々に近づく鬼羅と千代の距離。


千代は、目に涙をため首を横に振った。





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