鬼姫伝説 Ⅱ
「いいえ、いいえ!鬼羅は、生きて!・・・どうか、私の分まで、生きて!」
「なぜいつも一人で逝こうとする!あの時も、今も、俺を一人にするな」
「生きて・・・欲しかったの・・・。鬼羅に、生きていてほしかった」
「お前がいなければ、意味がないというのに・・・」
命を救われたこと。
なぜ、自分が生き残ってしまったのか。
生き残るべきは自分ではなく彼女だったはずだ。
千代がそういうように、鬼羅もまた千代に生きていてほしかった。
「私は・・・、心が汚れてしまいました・・・。千菜さんの事・・・羨んで憎しみに変わって・・・。もう、岐路が愛してくれた千代ではなくなってしまいました」
溢れだした涙。
悲しくて。
切なくて。
こんなはずじゃなかったと。
「身体を手に入れて、欲が出ました。もっと、もっと、鬼羅の隣にいるのは私であってほしかったと・・・」
「千代・・・、お前は、変わってなどいない。お前は、俺が愛した千代のままだ」
姿が違ってもわかる。
呼ぶ声の調子で。