鬼姫伝説 Ⅱ
「千菜!おい、千菜!帰って来い!帰って来い!」
鬼羅が呼んだのは、千代ではなく千菜だ。
必死に何度も何度も千菜の名を呼ぶ。
眠っている千菜を起こすために。
「ち、千菜ちゃん!帰ってきて!」
鬼羅の思いを知った琉鬼も、同じように呼ぶ。
どうか、帰ってきてほしいと。
必死にその名を呼んだ。
「千菜!お前が、戻ってくるのはここだ!帰って来い!」
「千菜ちゃん!帰ってきて、笑って!千菜ちゃんの笑顔が、見たい!」
ピクッと、千菜の指が動く。
ゆっくりと。
ゆっくりと、その瞳が開かれていく。