鬼姫伝説 Ⅱ
「千代は、もういない」
鬼羅の小屋に戻り、そう聞かされた。
私は何と答えたらいいのだろう。
私は・・・・・。
「お前がそんな顔、しなくていい」
鬼羅は、そう言って笑った。
普段あまり笑わない鬼羅が。
どうして。
鬼羅は千代さんが好きで。
あんなにも嬉しそうだった。
私の中に千代さんを見て、あんなにも愛おしそうに。
「最期に、話ができてよかった。千代とは、突然別れてしまったから」
私が、戻ってきてよかったの?
なんで、あの時・・・。
私の名を呼んだの?
「千菜?さっきから黙ってどうした」
覗き込む鬼羅の顔を見れない。
私はさらに顔を俯かせる。