鬼姫伝説 Ⅱ
鬼羅は、千代さんを愛してた。
千代さんがいなくなった今も。
ずっと。
千代さんだけを。
鬼羅は、私よりも千代さんを求めているんでしょう?
サーッと、気分が沈み込むように落ちていく。
もう、心の中にも千代さんの声は聞こえない。
千代さんは。
千代さんは、これで本当によかったの?
「千菜、どうした」
「・・・ううん。ごめん。なんでもないよ」
「お前を巻き込んで、すまなかった」
ああそうか。
私のせいか。
私のせいで、鬼羅は千代さんを諦めて。
私にこの体を返してくれたのか。
鬼羅は、優しいから。