鬼姫伝説 Ⅱ

取引




心の中が安定しない。
複雑な思いが交差して、どうしたらいいのか。
自分がどうしたいのかわからない。



鬼羅たちが、呪いの解き方を調べに出かけている間私は千代さんが祀られているというあの祠に来ていた。





「千代さん・・・。本当に、これでよかったんですか?」




帰ってこない質問を投げかけ私は手を合わせた。
一度は私の身体を乗っ取ろうとした千代さんは、どうして私に体を返してくれたんだろう。

その間の記憶は全くないから、私にはわからない。
静かな心。
千代さんはもう、私の中にはいないんだろうか。




「鬼羅への思いも・・・持っていってくれたらよかったのに・・・」



そうすれば、誰の思いなのかなんて悩まなくてすんだのに。
鬼羅の事、好きになっても報われることなんて・・・ないのだから。




「いいなぁ、千代さん・・・」




次々に溢れる素直な心。
なぜだろう、魂は同じ相手だからだろうか。



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