鬼姫伝説 Ⅱ
「脅す気?」
「人聞きの悪い。取引と言え。貴様が大人しく千代として我が正室になるというのならその呪いをといてやろう」
「ならなかったら・・・?」
「その時には、俺は全力で鬼の討伐を行う」
私はその言葉に目を見開く。
鬼の、討伐ですって!?
「鬼羅たちは関係ないでしょう!」
「関係ないだと?俺の邪魔をする奴は誰一人として許さん。そもそも、あのような化け物どもがこの世にはびこっていること自体が異質なのだ」
「化け物なんかじゃない!」
「千代と同じことを言う。化け物でなくて、なんだというのだ。あんなもの」
そんな言い方。
そんな風に鬼羅たちを蔑む権利なんてない!
どうしてそんな風に言われなくちゃいけないんだろう。
「鬼羅たちが・・・なにをしたっていうのよ」
「さあ、どうする。貴様の決定次第で、あの化け物の生死は別れる」
「卑怯者・・・っ!」
私が、ここに残れば。
鬼羅たちは、助かる?
私が向こうに戻ったとして、例えば時光の手からもどうにか逃げ切ったとして。
この呪いがあれば、鬼羅たちは不幸になる。