鬼姫伝説 Ⅱ
そう伝えたいけど、声に出したらせっかく止まった涙も一緒に溢れそうで。
「でも、お前のことだって大事なんだ。いつだって真っ直ぐなお前が、側にいてくれるとホッとする。お前の笑顔に、俺は救われる」
「・・・・っ」
「お前が千代の生まれ変わりだからではない。お前を、千代の代わりだと思ったことなんて、一度もない」
欲しかった言葉を、全部くれるの。
私の事が大事だって。
千代さんの代わりじゃないって。
私、これ以上の幸せはないよ。
「俺は、前を向かなくてはいけない。千代のためにも。お前となら、それができる気がするんだ。それでは、だめなのか?そんな気持ちでは、足りないか?」
私は、首をぶんぶんと大きく横に振った。
それ以上いらない。
それだけで十分。
「いても、いいの?私・・・っ、鬼羅の側にいてもいい?」
「いいに決まってる。お前に、側にいてほしいんだ」
溢れだした涙が頬を伝う。
鬼羅は、私を見てくれている。
今、それを実感する。
私の中の、千代さんじゃない。
私自身を見てくれてる。