鬼姫伝説 Ⅱ
それでいい。
それだけで、十分。
「泣かせてばかりいるな」
鬼羅の優しい腕が私を抱き締める。
温かい。
温もりに、私はそっと瞳を閉じた。
「鬼羅・・・。ありがとう。私、鬼羅の事が好き。千代さんの事を、好きだって言う鬼羅が好きだよ。だから、千代さんの事は忘れないで。千代さんの思いは消さないで」
「千菜・・・」
「私は、その次でいいから」
千代さんには敵わない。
千代さんの思い。
鬼羅の思い。
そこに私が入ることはできないし、したくない。
二人の関係を認めたい。
千代さんが、鬼羅の事を好きになった気持ちわかるから。
だって、私も鬼羅に恋をしたのだから。
「大好きよ」
鬼羅の大きな手が私の頬に添う。
グイッと顎を持ち上げられ、私の唇を鬼羅の唇で塞がれる。