鬼姫伝説 Ⅱ

｢でも、まだ信じられないの。千代さんの事を一途に思ってた鬼羅が、私の事って｣

｢信じてあげてよ。鬼羅は、適当な気持ちでそういうことするような奴じゃないから｣

｢・・・うん｣

｢たぶんね、消化できたんだと思う。あの二人、ちゃんと別れも言えずに一生会えない場所に行ってしまったわけだから｣




琉鬼くんが、寂しそうにほほ笑んだ。
琉鬼くんだって、きっと辛かったはず。
琉鬼くんは、優しいね。
いつだって人の事を想って、人のために動いてる。




｢でも、千菜ちゃんの身体を介してちゃんとお別れが言えたから。きっと、納得できたんだと思うよ｣

｢うん｣

｢だから、鬼羅の中に生まれてた千菜ちゃんへの気持ちにちゃんと向き合えたんじゃないかな｣

｢え？｣

｢鬼羅、たぶんずいぶん前から、千菜ちゃんの事気にかけてたと思うよ。そうじゃなきゃ、自分の住処になんておいておかない。どうにかして追い出そうとするはずだから｣





そうなのかな。
そうだと嬉しい。
千代さんへの気持ちは消えたわけじゃない。
それでいい。
むしろ、消してほしくなんてない。

それでも、私の事を想ってくれているのなら。
私は幸せだから。