鬼姫伝説 Ⅱ
「おい。なにをダラダラ話し込んでる」
「あ、鬼羅。なに、気を遣ってたの?鬼羅が?」
「バカ言え。お前は何か用があったんじゃないのか」
鬼羅は不機嫌そうに眉を顰める。
反対に琉鬼くんはへらへらと笑っていて対照的だ。
「あ、そう!見つけたんだ、呪術師!鬼羅が起こしてくれた騒動で慌ただしくなった城を探し回って、牢に入れられてたのを見つけた!」
「そうか。それで」
「集落の方で確保してるよ」
「わかった。すぐに向かう。千菜、すぐに出る」
「う、うん!」
私を助けてくれる最中、呪いの事にも動いてくれていたなんて。
私は、なんてお礼をしたらいいんだろう。
「ありがとう、鬼羅。ありがとう、琉鬼くん」
「なに言ってんだよ。その呪いは、千菜ちゃんのせいじゃないんだから。お礼なんていいんだって」
「バカなことを言ってないでさっさと行くぞ」
「うん!」
優しい二人に連れられて私は、鬼の集落へ向かった。