鬼姫伝説 Ⅱ
部屋の扉が開き、先ほどの男が入ってくると一言そう言った。
男に連れてこられたのは城の中。
大広間に連れてこられた私は乱暴に突き飛ばされる。
「ったぁ!もう、さっきからもうちょっと優しくしなさいよ!」
手を後ろ手で縛られてるため手が出せず肩を打ち付ける。
「殿!この娘が森に侵入していた珍妙な娘です」
「ち、珍妙!?」
酷い言い様に抗議しようと身体を起こして男を振り返る。
男は険しい顔をして、ただ前を見ていた。
私なんか、見向きもしない。
「女、顔をこちらに向けよ」
「・・・な、なんなのよ、えらそうに!」
殿だかなんだか知らないけど、ふざけるのもいい加減にして!
どんどん、自分がしていた妄想が現実味を帯びて恐ろしい。
ここは、私が住んでいた世界じゃない。
私の、時代じゃないのではないか・・・?
来ている着物や建物・・・そして殿と呼ばれる人物・・・。