鬼姫伝説 Ⅱ
そう思うと少し胸が痛かった。
でも、鬼羅の思いを無駄にはしたくない。
私は毅然とした態度で男を真っ直ぐと見た。
「どうする。時光に引き渡してもいいのだぞ」
「・・・っ、わかった」
男が苦々しい顔でそう言った。
時光の元にはそれほど戻りたくないんだろう。
「いるものが色々とある。準備をさせてほしい」
「琉鬼、手伝え」
「わかった」
琉鬼が男を連れて準備をするためその場を離れた。
緊張感を解き、ふぅ、吐息を吐く。
「大丈夫か?」
「うん・・・」
鬼羅の言葉に私は笑って答える。
辛いのは、私じゃない。
鬼羅の方が辛いはず。
だから、私は鬼羅に安心してもらわなくちゃ。