鬼姫伝説 Ⅱ



「私に、くれるの?」

「ああ」




私はそれを受け取る。
嬉しい。
私のために、用意してくれたの?





「大切にする。ずっと、ずっと」

「大げさだな」

「嬉しいんだもん。こんな風に、鬼羅に思ってもらえるなんて思わなかったから」




これは、私を想って選んでくれたんだ。
今ならそう自信を持って言える。

あの着物の時みたいに、千代さんを想ってなんじゃって、不安になることなんてないんだ。




「嬉しい・・・。本当に、嬉しいの」

「そうか・・・。いろいろと、辛い思いをさせたな」

「・・・っ」



私は首を横にぶんぶんと勢いよく振った。
辛い想いなんて、いくらでもする。
鬼羅といるためなら。




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