鬼姫伝説 Ⅱ
「ここ・・・」
鬼羅が連れてきたのは、千代さんの祀られている祠。
まだここは静かだ。
遠くから、騒然とした声が聞こえてくる。
「ここには千代がいる。きっと、お前をかくまってくれる」
「鬼羅は・・・?」
「俺は、また戻らなくてはならない」
行ってほしくない。
このまま別れたら、もう会えない気がして不安なの。
「行かないで・・・」
「千菜・・・。言っただろ。お前を護りたいんだ。もう、大切なものを失いたくない」
「私だって、鬼羅を失うのはいや!だから・・・っ」
いかないで・・・。
そんな事、言ってはいけないことくらいわかってる。
琉鬼くんだって、他の鬼たちだって、戦ってるのに。
「千菜、お前に出会えてよかった。お前に出会わなければ、きっと、俺はこんな風に立ち上がることはできなかっただろう。千代の死を悲観し、後悔するだけ。そして、憎しみに胸を焦がして・・・ただの修羅になっていたかもしれん」
「鬼羅・・・?」
「お前に出会い、俺の心は、救われた」