鬼姫伝説 Ⅱ
鬼羅の側にいたい。
その願いすら、聞き入れてもらえないの?
「俺が、いやなのだ。憎しみに、醜くなった俺の姿など・・・お前に見せたくない」
「鬼羅、お願い。そんな事言わないで・・・。憎しみに、心を落とさないで」
「ああ。お前には、今の俺の姿を覚えていてほしい」
「鬼羅・・・。何度だって、何度だって、私、鬼羅を救う!あなたの心が修羅に落ちたとしても、私が助け出して見せるから!」
だから、私を側にいさせて。
すがるような声で。
それでも鬼羅の心は動いてくれない。
私を見る目はこんなにも優しいのに。
「愛してる、千菜」
「いやよ」
「俺の名前を、呼んでくれ」
「い、いや・・・」
「好きだと、その声を、俺は一生覚えておくから」
ポロポロと想いは涙になって。
こんなに近くにいるのに。
遠くに感じてしまうの。
私は、ここにいたいの。
鬼羅の側に。
呼んでなんて上げない。
好きだなんて、言ってあげない。