鬼姫伝説 Ⅱ
「あ、あの・・・」
「俺がわからぬか?もしや、記憶がないのか?そうか、毒を受けたのだ・・・当然であろう・・」
「ちょ、ちょっと待ってください」
全く私の話を聞かず一人で納得したように捲し立てていく。
ちょっと、なんなの!?
「おい、なにをしている、この縄を解け」
「と、殿!ですが・・・」
「俺がとけと言っているのだ」
ぴしゃりといいのけると男は苦渋の表情を浮かべ渋々私の側に来ると私の縄を解いてくれる。
なんだか、勘違いしてるみたいだけど縄を解いてもらえたのはラッキーだわ。
「ああ、あれから10年の月日がたっているというのに、そなたは相も変わらず美しい・・・」
「え、あ、あの・・・」
ズイッと距離を縮められ戸惑う。
うっとりとした表情を浮かべ私の頬に手を添える。
「あ、の・・・あなたは・・・」
「我が名は、時光だ。そなたの夫となるはずだった男だ」
「お、夫!?」