鬼姫伝説 Ⅱ



布団の上に鬼羅という男の子を寝かせ、私に向き直る。
その表情は真剣だ。
私の正体を探っているんだろう。


彼も、私を誰かと間違えている様だった。
それはきっと、千代という人。


そんなに有名な人だったんだろうか。




「ちぃちゃん・・・じゃ、ないよね?」




その声には、すがるような思いが込められていた。
そうであってほしいと。
そんな思いが・・・。



「千代・・・」

「えっ?」




私が名前を出すと驚いたように目を見開く。
やっぱりそうだ。




「千代って人に、似ているんですよね?・・・一度間違われたことがあるので」

「あ・・・、うん・・・。似てる・・・」




私の言葉に、明らかに落胆した表情を見せる。
その彼女は、あなたにとって特別な人だった?

がっかり、した?




なんだか、胸が苦しくなった。




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