鬼姫伝説 Ⅱ
「鬼羅、違うよ。その子はちぃちゃんじゃない」
琉鬼が鬼羅の腕に手を添えると、そう呟く。
とても言い辛そうに、悲しみを含んだ声で。
「・・・なに?」
「鬼羅は、あの時封印されてもうあれから10年経ったんだよ」
「10年・・・」
「そう。10年前のあの時・・・。ちぃちゃんも死んじゃったんだ」
その言葉を聞いた瞬間、私は思いっきり突き飛ばされた。
な、なんなのよ!
身体を起こしながら鬼羅を見る。
鬼羅は、眉を寄せ私を睨みつける。
文句を言ってやろうとした心が折れる。
ゾクリと背筋が凍った。
「だから、その子がちぃちゃんていうのはありえない」
「ならば、なぜ人間がここにいる」
「え?」
「俺の目の前から消え失せろ」
冷たく突き刺さる言葉。
私が、なにをしたっていうの?