鬼姫伝説 Ⅱ
「あ、でも、一つだけ。角がないのだけは残念!そんな可愛い角なら私も欲しかったなぁ」
そう言って笑って見せると、琉鬼くんはとうとう本格的に泣き出してしまった。
ええええ!?
明るく盛り上げようとして言ったのに、なにがいけなかったの?
地雷を踏んじゃった感じ?
助けを求めるように鬼羅を見ると、鬼羅さえも瞳を揺らし私をじっと見ていた。
だから、なに!?
「な、なんか、私変なこと言ったのかな・・・?」
「ごめん。・・・千菜ちゃんによく似てるちぃちゃんがね、昔同じこと言ってたんだ」
「あ・・・。えと、千代・・・さん?」
なるほど。
涙を拭って答えてくれた琉鬼くんは寂しそうに笑った。
・・・そんなに、似てるんだろうか。
それに、この人たちと千代さんの関係って・・・?
「あの、その千代さんって、どんな人だったんですか?」
「ちぃちゃんはね・・・」
「話す必要はない」
「え?」
「話す必要はないと言ったんだ」
放そうとする琉鬼くんを咎めるように厳しい声が飛ぶ。
もう鬼羅の瞳は揺れてなどいなかった。