鬼姫伝説 Ⅱ
こんなこと、もう慣れっこだ。
自分が悲劇のヒロインだなんて思わない。
ただ、私だって人間で。
私だって、普通に傷つくんだ。
「ほら、気を落とすな!」
「うん・・・ありがとう」
「いいってことよ、・・・わっ!」
私を励ましながら歩き出そうとした恵が躓いて転ぶ。
慌てて抱き起すとひざをすりむいていた。
「いた―、やだ、なんもないところでこけちゃった。はずかし~」
恵は明るくそう言うけど、私の胸はざわざわと騒ぐ。
私のせいだ・・・。
私の事を慰めてくれて、私きっと心の中で恵の事・・・。
「こら、なに真っ青な顔で思いつめてんのよ」
「だって・・・」
「バカ!偶然よ。私が鈍くさかっただけ!」
恵はそう言ってくれるけど・・・。
私の心は晴れなかった。