鬼姫伝説 Ⅱ
「川にでも落ちたか」
「え、あ・・・ううん。川で水浴びしてた」
「水浴び?着物のままでか」
鬼羅はそこでようやく私を見る。
私もつられて自分の姿を見下ろすと、びっしょりと濡れて身体に張り付いた制服。
「お前の着物は、妙だな」
「みょ、妙って・・・まぁ、そりゃあここの人たちからしたら妙かもね」
「そんなに濡れてどうするつもりだ」
「どうって・・・。暑いしかわくかなーと・・・」
「お前は阿呆か」
「あほ・・・ちょっと、酷くない!?」
珍しく話しかけてくれたと思ったら阿呆って!
ほんと、失礼な奴!
確かに、どう考えても乾きそうにないなと後悔してるけど。
「ちょっと待っていろ」
「え?」
鬼羅は一言そういうと軽い身のこなしで飛び立っていく。
ああいうのを見ると、確かに人間じゃないのかなって思う。