鬼姫伝説 Ⅱ
わたしはわたし
私は、先ほどの河原まで走ってきていた。
血が止まらない・・・。
結構深く傷ついてしまったんだろうか。
着物、汚れちゃった・・・。
せっかく鬼羅がくれたのに。
―その着物・・・。鬼羅がちぃちゃんにあげた着物によく似てるんだ
「でもこれも、私のためじゃ・・・なかったんだよね」
そう呟けば虚しくなるだけ。
どうしてこんなに、鬼羅に拘ってるんだろう。
出会ったばかりの鬼羅にこんなにも―――――・・・。
でも・・・。
私は着物を脱ぐと、川に着物を付けじゃぶじゃぶと洗う。
着物から溢れた血が川を赤く染める。
ズキズキと痛む方もお構いなしに一心不乱に着物を洗う。
こんなことをして何になるんだろう。
私が、必要とされるわけじゃないのに。
私の居場所が見つかるわけじゃないのに。