鬼姫伝説 Ⅱ
「私の居場所なんて、どこにもない。私なんて、誰も求めてなんてない」
「俺は・・・」
「私は千代さんじゃない!」
私は、ここにいるのに。
私は・・・。
誰か、気づいて。
私はここにいるよ。
「それなのに・・・なんで、あんたが千代さんを思ってくれた子の着物を大切に想うの!?なんで、失いたくないって・・・想うのよ!」
こんな着物。
捨ててしまえたらいいのに。
それなのに、なぜ。
「おい、・・・落ち着け」
「いや!放して!」
鬼羅が私の腕を掴み、落ち着かせようとする。
それでも私はもがきその腕から逃れようとする。
グラッと視界が揺れ、私は足から崩れるように倒れこんだ。
それを、鬼羅が抱き抱える。
「千菜!」
初めて、名前を呼ばれた気がした―――――・・・・。