鬼姫伝説 Ⅱ
「着物、ありがとう」
「自分の着物が乾くまで着ているといい」
「うん」
ドカッと私の隣に腰を下ろす。
「お前、家族は」
「え?」
「帰るところがないというのはどういう事だ」
鬼羅は、こちらを見ずにぶっきら棒にそう尋ねる。
鬼羅なりに私を知ろうとしてくれてる?
「私の家は、ずっとずっと遠いところにあるの」
「遠いのか」
「うん。どうやって帰ったらいいのか見当もつかない遠い場所」
遠い・・・時代。
そんなところ、どうやって帰ったらいいんだろう。
「おばあちゃんとおじいちゃんと住んでたんだけどね・・・。お父さんとお母さん・・・私の両親はもう死んじゃっていなくて」