鬼姫伝説 Ⅱ
「千代は・・・。変な女だった。世間知らずで、一国の姫君で。箱入り娘だったあいつは一度も城下には降りたことがなかったらしい」
「え、お姫様だったの!?」
そんなすごい人に私似てるの?
「初めて城下におり、森に入って俺と琉鬼に会った。お前みたいに、俺たちを見ても戸惑わず、まっすぐ見てこのツノを羨ましいと言った」
「うん」
「人間なんて嫌いだった俺は、何度もあいつを突き放した。でも、それでもあいつは・・・」
「鬼羅のところに来たんだ」
きっと、その時にはもう千代さん鬼羅と近づきたいって思ったんだ。
もっと仲良くなりたい、側にいたい。
今の私みたいに・・・。
鬼羅は、私の言葉に小さく頷いて話を続けた。
「いつの間にか、俺も千代を想うようになった。側にいたいと・・・」
「・・・」
「あの河原で水浴びをした。そこで口づけを・・・」
切なく呟く声。
口づけ・・・。
頬が熱くなるのを感じる。