鬼姫伝説 Ⅱ



「千菜ちゃん?大丈夫?顔色がすごく悪い」

「中で休むか」





やめて。
やめて。
優しくなんてしないで。



嬉しいって思っちゃうから。





「優しくしないで!・・・二人の事好きになっちゃうから。大切に想っちゃうから」

「落ち着け。大切に想ってはいけないのか?」





いつになく優しい瞳で私を見る鬼羅。
溢れだした涙がぽろぽろと床に模様をつけていく。





「ダメなの・・・、私が大切に想う人はみんな・・・」




拳をグッと握る。
こんな事言ったら、離れていくよね。

でも、それでいいのかもしれない。



私は一人でいたほうがいいんだ。





「みんな、不幸になるの・・・」





< 79 / 198 >

この作品をシェア

pagetop