鬼姫伝説 Ⅱ
「私には帰りたい場所があって・・・、鬼羅の事は、口が悪くて憎たらしいとか思ってるし、鬼羅は鬼だし・・・、そう思ってるのに、なんでか気になるの。気になって、目で追っちゃう・・・」
「鬼羅って、わかりにくいけど本当はすごく優しい奴だからな」
鬼羅が優しい。
でも、なんとなくわかる気がした。
鬼羅の優しさ。
少しだけ、わかる気がしたんだ。
「でも、俺は応援するよ。千菜ちゃんのこと」
「私は・・・」
「いつか、鬼羅だってちぃちゃんの事は思い出に変えないといけないんだ。千菜ちゃんとのことで忘れられるならいいことだと思うしさ」
忘れていいのかな。
そんな事、鬼羅は望んでいるのかな。
忘れたくなんてないよね。
だって、大好きな人だったんだから。
人間なんて嫌いだって言う思いを180度変えてしまうほど動かされた人なんだから。
私自身の気持ちがはっきりしないのに、鬼羅に私を見てなんて言えないよ。